島根県糖尿病療養指導士第11期、第1回認定研修会報告
日時:平成30年 12月1日(土)~12月2日(日)
場所:松江赤十字病院 本館6階 講堂
【研修講義内容】
・パネルディスカッション「糖尿病療養指導士とは」
糖尿病療養指導士に望む事として、患者、患者を取り囲む家族の側に寄り添い、安心を与えてあげられる存在であって欲しい事を伝えられた。
そして、松江赤十字病院から地域、事業所へ出向き、栄養指導や糖尿病教室等を行ない、地域格差の拡がりが無いように整えられた。
また、患者の立場からCDEに望むものとしては、知識や技術も必要であるが、まずは笑顔で患者さんと接する事を大切にして欲しいとメッセージを頂いた。
行政の中からは、相談窓口として、保健所や市役所等の保健師を頼りに小さいことでも連絡が欲しいとの事であった。
医療現場としては専門医が県東部に多く、足りない部分をCDEが補える事を期待された。
また、他施設のCDE同士での連携を取り、紹介患者の情報がスムーズに取り合える事も期待されている。
「糖尿病の概念・成因と分類」
1型糖尿病と2型糖尿病の特徴や糖尿病と糖代謝異常の成因分類、また診断基準や検査方法などを説明された。
「糖尿病の食事療法・運動療法」
日本人と欧米人の体型の違いから、日本人は血糖が上がりやすい体質にあるため、患者のBMIに合わせた治療、指導が必要。
以前は糖質制限をしたダイエットが流行ったが、現在は間違ったダイエット方法による情報と患者教育がなされ糖質制限ダイエットは下火になっている。
年月の経過で正しい情報、患者教育の流れがあることを伝えられた。
「経口血糖降下薬(インクレチン関連薬を含む)」
各種、分類による特徴や対処法など説明もされたが、低血糖を起こさないための治療を行うため対象者への聞き取り、観察など事細かく情報をとっていくことが必要なことを伝えられた。
「各自の現状と問題点・今後の対応」
7グループに分かれ、ファシリテーターを中心にグループワークを行った。
各グループにて個々の様々な思いが出てきたが、自分のスキルを相手にどう伝えるか、スタッフの意識レベルの違い、他職種や他施設への連携不足、患者への指導力を学びたい、看護師は部署異動があるため力量の違いが出てくるなどの意見が聞かれた。
研修期間を通し個人のスキルアップ、レベルアップしてそれが保持できるよう学びを深めていただきたい。
「インスリン療法(セルフモニタリング含む)」
インスリン製剤のそれぞれの特徴について説明。場合によっては糖毒症解除のため一時的な使用の場合もあることを伝え、治療が継続できるよう関わりが必要。インスリンをどこに打っているか?の質問に対し、「ここ」と返事がある場合、インスリンボールができている可能性が高いことを説明された。
暁現象とソモジー効果については血糖変動を具体的に説明された。
インスリンの種類に関しては日本糖尿病協会のホームページに一覧表がありダウンロードできる事も案内されていた。
「糖尿病昏睡・急性合併症」
無自覚性低血糖があり、重症低血糖は心血管病や認知症のリスクになるため低血糖を起こさない治療が必要である。
低血糖体験のある患者は実際少ないデータもあり、低血糖症状、低血糖時の対処方法は細かく指導が必要。低血糖時に使用するブドウ糖の購入先も一緒に指導が必要である。
そして、低血糖をなぜ起こしたのかを一緒に考え、次に低血糖を起こさないための関わりが必要である。
「治療総論」
和歌山ろうさい病院院長、南條輝志男先生を講師に講演された。
生活習慣病、特に糖尿病患者の激増をデータとしてあげ、療養指導の重要性を伝えられた。
高齢化による医療ニーズの増加もあり、寝たきり予防の関わりの必要性を学んだ。
以前は患者を取り囲むチームとしていたが、現在は患者・家族をチームの一員としたチームでの関わりを持っている。
医学の進歩により薬剤の種類も増え治療が複雑に感じる患者もいる。
個人に合わせた理解度での説明を行い、継続した治療ができるよう関わってほしい。
また、タンパク質摂取と寿命についての研究もあり、筋肉量を増やすためにも有酸素運動とレジスタンス運動のすすめもあった。
「事例報告のまとめ方」
スライド使用し説明、注意点などもあげ、発表に関わる司会、時間管理の仕方なども一緒に説明された。
作成者:第10期島根県糖尿病療養指導士チーム安来・隠岐